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ロシア極東広がる商機 技術、設備、飲食…道内企業も関心



プレスリリース:北海道新聞:11/17 (web版)

ロシア極東 でのビジネスに、道内企業が関心を強めている。現地では野菜など道内産の高品質の商品だけでなく、寒冷地に対応した技術や設備に対するニーズも高く、すでに進出している企業も事業の拡大に前向きだ。北方領土交渉を視野にロシアへの経済協力に力を入れ始めた日本政府の動きも追い風になっている。

■経済協力の機運追い風 10月31日に札幌市内のホテルで開かれた、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催のロシア・ビジネスセミナー。当初は定員を100人としていたが、 中小企業 を中心に参加を呼びかけたところ申し込みが殺到し、140人が会場を埋めることになった。 セミナーでは、ジェトロ海外調査部の梅津哲也主幹が「ロシアで活動する日系企業に聞くと、市場規模と成長性への期待が大きい。

ビジネス環境も少しずつ改善している」と説明。ロシアに進出する企業からの事例報告もあり、参加者は真剣な表情で耳を傾けた。 住宅資材販売業(札幌)の社長(55)は「国内市場はもう飽和状態。次の一手を考える上で潜在力があるロシアは魅力的な市場の一つと感じた」と高い関心を示していた。

ジェトロによると、ロシアに現地法人や事務所、生産拠点などを置く道内企業は、2012年は8社、15年は10社で、ほぼ横ばい。輸出入や、現地での事業に取り組む企業の総数は把握し切れていないが、円高・ルーブル安の影響などもあり、経済的な交流は「ここ数年は、それほど盛り上がっていない」(北海道貿易情報センター)。

ただ、日本政府が今年5月の首脳会談でロシアへの経済協力強化の姿勢を鮮明にし、中小企業の交流拡大を柱の一つに据えたことで風向きが変わり始めた。関係者によると、飲食業などでも新たな進出の動きがあるという。 ジェトロも「今後は極東進出の動きが活発になる可能性が高い」(同センター)とみて、セミナーや情報提供などを通じ企業側を積極的に後押しする構えだ。

■事業拡大にらむ 一方、すでに極東に進出している企業も、事業拡大の機会をうかがっている。 ビニールハウス設計・施工の越浦パイプ(札幌)は15年7月、ユジノサハリンスクに野菜栽培用ビニールハウス2棟を無償で建設。耐久性や保温性など品質の高さが評判となり、今年2月にはサハリン州政府から3棟購入の打診があったほか、現地の農業関連企業などから問い合わせが相次いでいる。 同社の越浦政俊社長は「ビニールハウスを活用した農業の研修を道内で積極的に受け入れるなど、政府による環境整備が進めば極東での事業にさらに力を入れたい」との考えで、どのような経済協力の具体策が打ち出されるか注視している。

■医療法人も投資 ウラジオストクで総合検診センターを運営する社会医療法人北斗(帯広)は、来年夏にも現地にリハビリテーションセンターを開設する方針。現地に陽電子放射断層撮影(PET)装置を備えた検査設備を設置する計画もあり、両事業で数十億円の費用を想定する。 また、極東での農業関連ビジネスで実績を重ねている北海道銀行も、進出を検討する企業の支援などに、これまで以上に力を入れる姿勢を見せている。

■為替や政治リスクに懸念 日本政府が支援を強化する姿勢が鮮明となり、機運が高まりつつあるロシアビジネス。ただロシア市場の潜在力は認めるものの、道内では進出に二の足を踏む企業は少なくない。背景には、地理的に近いロシア極東の政治・経済の不透明感などがあり、今後、こうしたリスクを低減していけるかが活性化の鍵を握る。

旧ソ連崩壊後、道内企業は地の利を生かし、サハリン州や沿海地方を中心に、水産品の輸入や中古車輸出などを活発に行ってきた。経済産業省は「北海道企業は日ロ協力のフロントランナー」と位置づけるが、「乗っ取りや代金未払いなどトラブルの被害にもあってきた」(商社関係者)。 近年では、2014年のウクライナ危機に伴う米欧各国の経済制裁や原油価格の下落で、ロシアの通貨ルーブルが低迷。3年前には1ルーブル3円台だったが、現在はほぼ2分の1の水準に下がっている。日本製品は高価でも品質の高さから根強い人気があるが、ルーブル安による価格上昇で購入を手控える動きが広がっている。 「政治リスク」も障害だ。

旧ソ連時代の名残もあり、権限が強い政治トップの意向が経済にも反映されやすい。サハリン州で起きた昨年の知事交代劇は典型例。07年から同州知事だったホロシャビン氏は昨年3月上旬、巨額収賄事件で逮捕・訴追された。半年後の選挙でコジェミャコ氏が新知事に正式就任したが、この間、道内企業が関わる新規案件の進展はほぼストップした。 これらリスクに加え、言葉の壁や情報不足もあってロシアの法令や商慣習が複雑に映り、抵抗感が依然として強いのも事実だ。 日ロ両政府は9月、中堅・中小企業の協力に向けたプラットフォーム(基盤)を日ロ双方に創設することで合意した。経済団体や金融機関、企業などでつくる協議体で、商談会や経済訪問団の相互派遣、金融やビジネス情報の支援を活発化させ、投資や輸出入に関する紛争処理の役割も担う。これによりロシア進出への不安や懸念をどれだけ払拭(ふっしょく)できるかが課題だ。

◇ ■ロシアビジネスの展望は インフラ開発途上・日ロ連携型増える 北海道総合商事の天間社長 北海道とロシア極東の貿易を手がける 地域商社 「北海道総合商事」(札幌)の天間幸生社長に、道内企業によるロシアビジネスの見通しや可能性などについて聞いた。 ◇ ロシア極東の経済は、浮き沈みがありながらも、2000年ごろからは着実に良くなってきています。消費が伸び、生活の水準が上がっていることは間違いない。ただインフラの開発はまだ途上で、生産技術やサービスのレベルもそれほど高くないので、日本企業が参入する余地は十分にあります。伸びしろも大きい。

極東の人口は560万人程度で決して大きなマーケットではありません。だからこそ日本の大手企業が戦略的に進出するケースは少ない。逆に道内の中小企業にとっては、ちょうどいいサイズで、競争もそれほど激しくありません。 ロシアでのビジネスは、複雑な法制度や商慣習に加え、言葉の壁もあり、現地で信頼できるパートナーを見つけられるかが成功の鍵を握ります。ただ、そうしたパートナーを見つけるのは簡単ではなく、現地で活動するわれわれの会社が、その役割を担えればと考えています。来年1月にはウラジオストクに、道産品などを展示・販売するアンテナショップも開設する予定です。

道内の企業は輸出ばかりに目が向きがちですが、ロシア側にはできるだけ自国内での生産を増やしたいという強い思いがあります。同じ寒冷地である北海道の技術を導入し、農産物や工業製品の生産性を上げ、経済を成長させたい。ですから、単に商品を輸出するというよりは、道内から輸出した材料と現地で生産した材料を現地で組み立てて製品にするような、連携型のビジネスが今後は増えていくのではないでしょうか。 12月の日ロ首脳会談を控え、両国の政治的な距離が縮まり、対話が活発になってきていることはビジネスにもプラスです。これから日本側の経済協力の具体策が示されると思いますが、中小企業が資金を調達するための官民ファンドや、中小企業にロシアビジネスの専門家を派遣する制度などができれば、非常に効果的だと思います。両政府によるこうした環境整備が進めば、経済交流の機運がさらに高まることでしょう。(経済部 高橋俊樹、栗田直樹)

 

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